「がむしゃら1500㌔」。バイクに憧れ始めた頃、ワクワクして一気に読破したか、それとも免許を取得して乗り始めた十代、二十代に読んで感動。そのような体験を持つバイク乗りが数十年後、再読。感動を新たにする本。時代を重ねてもバイク・ツーリングの紀行文としてこの作品を上回る作品は出ない。僕が、「浮谷東次郎」の名前を知ったのは、今は廃刊となった雑誌「Mr.Bike ミスターバイク」のコラム。コラムの執筆者が何の気なく手にした本が「がむしゃら1500㌔」。その本で執筆者が「浮谷東次郎」を知ったという。僕はそのコラムを読んで「浮谷東次郎」を知った。
ーーウィキペディア(Wikipedia)によると、浮谷 東次郎(うきや とうじろう、1942年7月16日 – 1965年8月21日)は、千葉県市川市出身のレーサー。中学3年生の夏休みにドイツ製の50ccの2輪車であるクライドラー(50ccの2輪車は日本の法規で原動機付き自転車に分類され、当時は14歳から運転許可証を取得できた)で市川市~大阪市間を往復。当時の日本は一級国道もほとんど砂利道であり、現在に比べ信頼性の低かった自動車や2輪車で東京と大阪を旅行するのは冒険といえた。ましてや中学生の少年の一人旅である。浮谷は道中で多くの人と出会い様々な体験をしたが、その道程を体験記『がむしゃら1500キロ』の題でまとめ、私家版として本にしているーー。
その後、私家版だった「がむしゃら1500キロ」は筑摩書房、新潮文庫から刊行され、一般の人も読めるようになった。アイキャッチ画像の本は、新潮文庫版。今、この作品、新刊としての発売はない。電子書籍で読める。
昭和32年の夏休み。15歳だった東次郎のバイク旅行。読み進めると感じるのは、道交法、道路など運転環境、バイクの性能、旅行の装備、接する人々の気質などといったものはかなり現代とは違う。また、バイクを走らせていて、東次郎が思う事、考える事は現代に生きる者とは開きがある事も事実。だが、身を守るものなく、体に風圧を受けてのライディング。ライダーは、だだ、ひたすら道を走るだけ。ライディング中、次々と移り行く景色の変化を感じ、色々な思い、回想が心の中に湧きあがることは東次郎も僕たち現代のバイク乗りも変わらない。それが、バイクを駆る魅力だ。
第四日。東次郎が祖父に「すすめられるままに、ビールを飲んで、そこを出た」との記述がある。今となっては書きたくとも書くこともできない文言だ。でも、すっごくイイぜ!!。
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